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11月の読書会ー蝉しぐれ(藤沢周平)

.20 2020 読書 comment(0) trackback(0)
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 午前中、どうしても解決しておきたいことがあったので、「六条の宮」
の建築主打ち合わせをした。
 建築家というのはデザインをするということもあるのだが、もう一つ
重要なことは問題解決屋であるということである。家庭内の意見の
食い違い、したいことと現実との差、など矛盾した要望をできるだけ
素直にプランに反映させねばならない。
 現役のころ、あるホテルオーナーの家を設計した時に、建築主から
学んだのは、「相手の話をよく聞き、自分なりの考えをしっかり提示
すること」だった。相手の意見を聞きすぎてもいけない。「どういったの
がいいですか?」「ここはどうしましょうか?」相手におもねり過ぎると
「君は専門家だろう、いいと思う案を提示したまえ」とぴしゃりとやられ
た。また一方的に自分の考えを押し付けると「そんなものしか提案で
きないのか、君は一体どんな暮らしをしているんだ」とこれまた
ぴしゃりとやられた。やり取りの押しひきは誠に難しい。
 先日、スマホの様々な情報を見ていたら、「注文住宅はなぜ、変な
のが多いのか?」といったタイトルの記事があった。何のことはない、
「建築主の意見を聞きすぎるから」という。なるほど・・・一理ある。


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 午後、軽く昼食を摂り、図書館へ赴く。11月の読書会のテーマは
「蝉しぐれー藤沢周平」今回集まったのは男性3人、女性3人である。
以前読んだことのあるのは私と女性一人だけ。まずは初めて読んだ
女性二人に感想を聴いた。
 概ね好評で、素直に読めたし、読みやすかった。情景描写が非常に
優れていて、逆に感情表現が淡白すぎるくらいだが、その想像の
余白が手ごろで良い。女性の描き方が所所に出てくるがその描き方も
好感を持てた。
 最後に主人公のお福と文四郎の濃密な逢瀬の場面でこの小説は
終わるのだが、小説自身は事件が解決したその前段で既に終わって
いる。この最終章は文学的にはない方がいいという意見があるという。
女性陣はこれはやはりあった方がいいと言い、男性陣はなくした方が
いいと意見が分かれた。
 この小説の解説にはこうある。

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朝、川のほとりで蛇に咬まれた隣家の娘を救う場面からはじまるこの
物語、舞台は海坂藩。清流と木立に囲まれた城下組屋敷、淡い恋、
友情、そして悲運と忍苦。ひとりの少年藩士が成長してゆく姿を豊か
な光のなかで描いたこの作品は、名状しがたい哀惜をさそわずには
おかない。

 海坂藩の藩政を揺り動かす後継問題を背景に、3人の少年藩士の
それぞれの成長を中心に物語は動いていく。一方で、幼い頃からの
隣家の娘ふくへの淡い恋心、それはやがて届かぬ恋となるが、藩主
の側室となりその子ともども命の危機に瀕したふくを文四郎が命懸け
で助ける。ふくとの恋が伏線として描かれているため、ずいぶんと豊か
な小説としてこれまでなんどもテレビや映画になった。
 今回、全部を読み返そうと思ったわけでもないのだが、読み始めたら
止められなくなってしまった。何だろうと文章の字句を丁寧に追って
みると実に情景描写が緻密なのだ。例えば、親が捕らわれ、切腹の
可能性があるという場面で面会の後寺を出て、苦悶する文四郎を
描くのに心の中の不安や苦悩を深く描くのではなく、周囲の情景を
緻密に描いていく。主人公の描き方が3次元的というか映像的なのだ
つまり映像で苦悶の主人公を描いていることに気づく。
 男性陣は藤沢周平もいいがやはり山本周五郎の方が感情表現が
豊かで文学的だから好きだという。なるほどね・・・・・
藤沢周平を見るのに山本周五郎を対比させる。両者の作品には似た
所があるのだが文体はまるで違う。こうした比較もまた面白い。

 今まで土曜日の2時半から4時まで読書会をやっていたが、もっと
しゃべりたいというので、次回から2時から4時までと30分延ばしてみた。
みんなもっとしゃべりたいのだ、文学を・・・・・
来年は何を読もうか。
この日話題に上ったのは、柳美里とその作品「JR上野駅公園口」
アメリカで最も権威ある文学賞の一つ、第71回全米図書賞の翻訳
文学部門で受賞。日本の女性作家の作品が今、世界中で読まれて
話題になっているという。小川洋子の「密やかな結晶」。村田紗耶香
の「コンビニ人間」、川上未映子の「夏物語」などなど・・・・
来年は読書会で女性作家を読もうという話になった。





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