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旅の途中 その3

.08 2012 comment(0) trackback(0)
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 もうすぐ宮崎空港到着のアナウンスが流れる。窓の下に青い海が見える。遠くに一ッ葉海岸が見えている。空港は海に面している。飛行機は海上すれすれまで高度を下げる。まるで航空母艦に着陸するかのような雰囲気である。すぐ下に波の一つ一つがはっきり見える。今日は白波がたっている。陸が見えた直後、飛行機は着陸する。機体が揺れる。ブレーキがかかり機体は滑走路を滑っていく。ちょっと薄い雲はあるが青空の広がったいい天気だ。風は少し強いのか周囲のパームツリーの葉が激しく揺れている。

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右手に航空大学の看板が見えた。もう10年位前になるのだが同じ会社でインテリア設計をされていたSさんの御子息がこの学校で学んでおられた時のこと。練習機が墜落して教官、同僚が亡くなられたなか、一人御子息のみが一命を取りとめた。その夏、帰省の途上花を持って病院に見舞いに行ったことがある。当人は当然面会謝絶、ご夫婦がホテル住まいをされながらずっと付き添っておられた。久しぶりに会うSさんは「なぜ君が?」やつれた顔に怪訝そうな表情を浮かべておられた。「私の故郷ですよ。今、帰省の途中です。電車の出発まで時間があったもので」と云うとほっとされた。数年の治療、リハビリを経て奇跡的に学校への復帰を果たされたが、その後進路を変えられたと聞いた。そのSさんも昨年退職された。

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いつも駆け足だった。旅を表現するのは難しい。いつも4枚の写真で100Kmや200Kmを駆け抜ける。今日は流れる時間に合わせてゆっくりと流してみよう。そう私には時間がたっぷりある。

昨夜メールを開くといつもコメントをくれるO-ni君から(昨年、吹雪の中を一緒にスキーに行った)メールが入っていた。会社の同期では珍しくこの3月で私と同じように退職された。メールには「会社を辞めたら学会賞受賞の連絡が入った。」とある。最近環境に関する本を2冊出版した。その内容が評価の対象になったとのこと。いったい何の学会だとインターネットで調べるとO-ni君は土木学会や日本生態学会などに顔を出していたらしくその名がある。あった。第10回日本生態学会賞「環境容量から見た日本の未来可能性」とある。とりあえず「おめでとう」とメールで返信する。

本を出すたびに私と当時一緒にカヌーで遊んだ安さんのところへ「やるわ」と持ってきてくれる。それらの本がもう5,6冊になった。「定年後ゆっくり読むわ」と云い逃れして未だに読んでいない。


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O-ni君の会社人生はなかなか複雑である。私が40階建て超高層の建物の設計室にいた頃、O-ni君は会社が嫌になったと長期間家に籠り、会社を休んでいたことがある。その間どういうわけかカヌー遊びに夢中になり、木津川の笠置駅の前にあるフジタカヌーの講習会に一緒に遊ばないかと何度か誘われ、家族で遊びに行ったことがある。これが結構楽しくて、その内O-ni君は会社に復帰したのだが、今度は会社にカヌークラブを作るという。発起人、役員に名を貸せというから貸したら、毎年新社員の勧誘に一緒に来てくれという。仕事が忙しくて結局一度も行かなかった。それでも夏のシーズンには桂川、木津川、宇治川、それら三川が合流した淀川、遠いところでは熊野川、四万十川にも遠征した。

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カヌーに乗らなくなって、それぞれが異なる忙しさの中にいた。と思っていたら、ある時O-ni君は卒業した大学院の研究室へ通い始め、ついに博士号を取得する。その博士論文をもとに最初の本を出す。川の流域をベースにした環境圏をテーマにした論文でカヌー遊びも伊達ではない。その後、立て続けに本を執筆、今に至っている。

半年ほど前に「お前、来年からどーすんの?」と聞くと「今それどころではない。本を執筆中でなんも考えてない。そのまま継続して働こうかな。」というから「お前なー、会社があれほど嫌だった人間がなに云ーてんのや。さっさと辞めい。」半年たってぽつりと「あんたと同じく辞めることにした。」という。やれやれ



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