定年退職

.31 2012 日記 comment(4) trackback(0)
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 その日の朝、いつもの時間にいつものように電車で大阪へ向かう
いつもの風景なのに通勤電車の中で私だけが特別な存在
見慣れた光景を刻み付けるように眺める
もう、急ぎ足で人ごみを掻き分けて
前へ前へ急ぐ必要はない


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交差する人波の中で
ひたすら前を向いて今日の段取りを考えていた
ゆったりとした家庭の温もりが徐々に消えて
少しずつ少しずつ気持ちを研ぎ澄ましてきた

いつものそんな朝の見慣れた風景の中に
私はゆっくりと歩を進める


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一年を過ごしたカレンダーが終わりを示している
長い間一綴りの数字で示された私という記号が抹消される
数多くの絆で繋がっていると思っていたパソコンの中に
折り重なったメールの列
検索不能になった大量のデータ
私というものの存在がリセットボタンで消滅する


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夕刻、年度末の席替えで騒々しい社内を
挨拶して回る
セキュリティーカードを返却して
建物の玄関から御堂筋へ出る
夕暮れの中
いつもと変わらぬ風景
急ぎ足の人の群れ、車の流れ


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見上げると
建物の窓に夕方の空が映る
ビルに明かりがともり
まだまだこれから一仕事
かつてそんなことを考えた夕方のひと時
まだ新芽を出さない銀杏並木には今日は季節の香りがない


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向かいの通りから振り返ると
タイルとステンレスの絶妙なバランスで配された窓が
まるで
私に向かって手を振ってくれているようだ

私は長い間お世話になったこの建物に
一礼をして
地下鉄への階段を下りた




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